行方昭夫先生と原文で楽しむ英文読書術
英語の小説を原書で読んだりすると、知らない単語がたくさんでてくるのはもちろんなのですが、単語だけではなく、文法的にもよくわからない文章に出くわすこともたまにあります。英語の文に慣れたりいろいろな表現に触れたりするには、多読はとても効果があると思うのですが、それと同時に短い文章でもいいので英文を精読する訓練も必要だと、原書を読むたびに感じています。
そこで手に取ったのが、英文学者で東大名誉教授でもある行方昭夫先生の「東大名誉教授と原文で楽しむ 英文読書術」。この本では、ラフカディオ・ハーン、アースキン・コールドウェル、キャサリン・マンスフィールド、ナサニエル・ホーソーン、リング・ラードナーの5名の作家による短編が取り上げられ、それぞれ原文と行方先生の訳文が見開きで左右に並べてあり、そこに単語や文法の説明が加えられています。
行方先生の素晴らしい翻訳とわかりやすい英文法の解説だけでもとても勉強になるのですが、さらにうれしいことに、収められた5つの短編を行方先生がどう読み解いたかが書かれていて、文学作品を深く味わうことができる構成になっているのです。
行方先生は本書の前にも、サマセット・モームの短編の英文解釈本を3冊出されているのですが、このような本がもっとでて欲しいと切に思います。